らせんの持つお話の話

螺旋階段はお好きですか?グルグルと回って、今自分はどのあたりにいるんだろうと、現在位置がなんだか定かでなくなるのが螺旋階段。真ん中の空間を覗いて、あとどのくらいか?どのくらい登ってきたか?と上や下を覗いて確認してみたり。そんなの関係なくなんだか覗いてみたくなっちゃうのが螺旋階段。少し歩みを進めてみては、また覗くのです。


こんにちはキムラです。今日は螺旋/スパイラルが持つストーリーを書いていきます。


・スパイラル

ここでは螺旋をスパイラルと呼び方を変えて少しみてみましょう。スパイラルというとグルグルの紋様を思い浮かべます。立体というよりは少し平面的な印象を持ちます。少し検索してみるだけで、古代から世界中で重要な紋様として使用されていることがわかります。ある解釈では、“大地と空を繋げる風”を表していたり。“真実の自分自身を探す、終わりのない精神世界の旅”を表していたり。視覚認識を超えた“天体の動き”を表していたり。スパイラルの紋様は、繋がり溶け合うこと/永続的な運動/精神性の高まり、のシンボルとして使用され、そしてそれらの紋様は土偶や石の断面に彫られ、壁画に描かれ、世界各地にみられます。それらは記号や文字を通り越した、共通認識の深い層で繋がっているイメージへアクセスすることを、私たちに促します。


ニューグレンジ遺跡の入り口にある石、紋様

・蛇

ここで一度、蛇という生き物、そしてそのイメージに移ります。トグロを巻いて鎮座し、ウネウネと這い、グルグルと木に巻きつく蛇の姿が頭に浮かびます。そして鋭い眼と二つに割れた舌先が出たり入ったりする口。獲物を丸呑みする口は想像より大きく、牙が光り、毒牙により噛まれた獲物は一発で死の恐怖に晒されます。この蛇のイメージも世界中に点在し、あらゆる神話・民話に死の恐怖の象徴として現れます。また同時に、脱皮を繰り返す点から「再生」、「知性・知恵」を持ち授ける象徴としても多く描かれています。

螺旋のイメージを司る生物として、これらのような意味を持ち、用いられています。こちらのページで世界各地の蛇にまつわる神話が紹介されています。ぜひ寝る前のベッドタイムに見ていただくのがお勧めです。

・かき混ぜる、回る
コーヒーにミルクを入れて掻き回してみる。よく混ざって美味しい。そんなイメージが用いられているのが日本神話の冒頭。グルグルと撹拌し最終的に結晶になった大地から話は始まります。また古事記では、木の周りを互いに反対側から回る事で子を授かったと描写されています。このような描写は日本だけではなく、エジプト神話(ヘルモポリス創造神話)においても類似の記述が見られます。暗く広がった原初の水をかき回して丘を産み、創造を導くシンボルとして描かれたアメン神。かき混ぜる、回るという動きが、意図されて描写に用いられていると考えることができます。


 螺旋・スパイラルがもたらすストーリーは余りにも壮大で、長い時間と歴史を受け取ります。そしてこの螺旋のどこかに、小さく小さく私たちが点として在るように感じます。しかしこの螺旋が持つ大きなストーリーは、私たちの中にある螺旋のイメージからもたらされたお話なのです。一人一人が持っている螺旋が、どこかで交わった時に思いもしないことが生まれるのかも知れません。この交わる点はすでに日常でたくさん受け取っていると考えています。あの時の何気ない一言、一緒に飲んだコーヒー、道を歩いていて見つけた野花、車を降りて感じた風、たまに思い出すあの本の一節。

 私たちの螺旋は誰かと何かとたくさん交わっています。そしてこれからも未来に向けてその線を伸ばし、まだ見ぬ点を残していくのです。それはどこまで伸びていくのか、そしてどこから伸びてきたのかと、私たちは想像を掻き立てられているのです。

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